B氏はざらに、インターネットへの高速なアクセスを手頃な価格で提供することの重要性について語り、それに関連して、コンシューマーが自由に操作できるデジタルテレビやビデオがウェブ経由で提供される可能性に言及した。
手短にいうと、B氏は「ウェブのライフスタイル」について自分のJ氏を披露し、インターネットはやがてコミュニケーションの主流へと成長して電話なみに普及するだろうと語ったのだ。
B氏は、聴衆に向かって、世界はより高速でより高性能なパソコンを必要としていると語ったが、その理由を説明したのは、E氏とその相棒のH氏だった。
クロームのデモをこれほど大勢の人びとが見るのははじめてだった。
前日の基調講演でクロームについて言及したのはO氏だったが、このテクノロジーを実際に紹介したのはE氏とH氏だった。
このときのデモは、過去にA氏がもくろんだ派手なものと比べると、だいぶおとなしかった。
クロームのマーケティング担当者たちには、A氏ほどのあつかましさがなかった。
しかも、E氏は、A氏が帝国を離れて株のディトレーディングに手を出すようになってからは、ひとりきりで奮闘していたし、かつてはダイレクトXのプログラマーだったR氏のほうは、ネットショウの水先案内をつとめていた。
たとえ、3人がこのショーのために顔をそろえたとしても、手かせをつけられたような気がしたはずだ。
E氏は、イベント費用の支払いをM社の重役たちとともに分担していた。
ダイレクトXを宣伝したときの、円形劇場や、怪物や、偽の異星人の宇宙船みたいなものは期待できなかった。
この会場では、E氏は優秀な企業戦士としてふるまわなければならなかった。
ごくふつうにステージにあがって、ハイテクではあるが地味なスライドショーの司会をするしかなかった。
B氏やその子分たちと同じように、E氏とH氏も赤い半袖シャツにカーキ色のゴルフパンツという服装で一体感を表現していたが、それは大嘘に近かった。
E氏とH氏は、あいかわらずめったに口をきかなかった。
H氏は、E氏がクローム・チームに、より単純なダイレクト3Dリテインドモードではなくダイレクトアニメーションをむりやり使わせたことを根に持っていて、彼のことを干渉のきつい管理者だと思いこんでいた。
不和はあったが、E氏は聴衆に、H氏とM氏(彼は本社にもどっていた)こそ、この新規テクノロジーを実現した張本人なのだと思わせるようしむけた。
たとえチームリーダーたちと意見の相違があっても、彼らの忠誠にはきちんと報いたのだ。
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